ネット通販を開けば数タップで最安値の商品が翌朝届く。そんな時代に、わざわざ重い腰を上げて実店舗を訪れる客が求めているのは、単なる安さではない。「自分の生活がどう変わるか」という具体的な実感だ。
都内大手チェーンの旗艦店を覗くと、従来のような「テレビ売場」「冷蔵庫売場」といった機械的な分類は姿を消している。代わりに広がっているのは、完全にコーディネートされた「スマートリビング」や「次世代キッチン」の空間だ。客はそこで、AI調理家電が作った料理を試食し、防音ルームで最新オーディオの音響効果に耳を澄ませる。商品を並べて売る「物販」から、暮らしの未来を提案する「体験価値の提供」へ。この転換に成功した店舗だけが、週末の賑わいを取り戻している。