エレベーターを降りると、そこはレストランというよりも未来の植物工場であり、同時に洗練されたファインダイニングでもある。ガラス越しに見えるのは、LED光線のもとで光合成を繰り返す何百種類もの珍しいハーブやマイクログリーン。土を使わない最新の水耕・エアロポニックス栽培システムが導入されており、水資源の使用量は従来の露地栽培に比べて9割以上削減されているという。
「お客様がオーダーを入れてから、その場で葉を摘み取る。これ以上のフレッシュネスは地球上のどこにも存在しません」。胸を張るシェフの言葉通り、皿に乗せられたナスタチウムの葉を噛み締めると、口いっぱいに弾ける爽快な辛味と瑞々しさに思わず目を見張った。都市のビル群の中で生きる私たちが長いこと忘れていた、生命そのものを味わう感覚がここにはある。