夏風邪の喉の痛みに関して、インターネット上には医学的に誤った言説や危険な思い込みが散見されます。回復を早めるためには、根拠のない俗説を正しく見極める必要があります。
誤解1:以前もらった抗生物質(抗菌薬)を飲めばすぐ治る
これは最も避けるべき危険な行為です。ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、手足口病はいずれもウイルス感染症であり、細菌を殺すための抗生物質は一切効果がありません。効果がないばかりか、腸内細菌叢を破壊して免疫力を落とし、薬剤耐性菌を生み出す温床となります。ただし、扁桃に白い斑点(白苔)が付着する溶連菌感染症のような細菌感染が確定した場合は、医師の処方に従い抗生物質を規定日数飲み切る必要があります。手持ちの余り薬を自己判断で服用することは厳禁です。
誤解2:うがい薬で喉を強くガラガラ消毒すれば早く治る
ポビドンヨードなどの強力な殺菌成分を含むうがい薬で過度にうがいを行うと、ウイルスだけでなく喉の粘膜を保護している正常な常在菌や修復中の上皮細胞まで傷つけてしまいます。炎症がピークの時期に刺激の強いうがい薬を使うと、痛みが悪化する要因にもなります。急性期のケアには、刺激の少ない水または生理食塩水でのマイルドな洗浄、あるいは抗炎症作用を持つアズレンスルホン酸ナトリウム配合の洗口液が適しています。
誤解3:ただのクーラー病だから放っておけば治る
「冷房の効きすぎによる一時的な不調」と高をくくり、水分補給を怠るパターンです。喉の痛みで飲食が滞ると、夏の高温環境下では極めて短時間で脱水症を引き起こします。特に高齢者や多忙なビジネスパーソンは脱水の自覚が遅れがちで、血液の粘度が高まることで血栓症や熱中症を併発するリスクが高まるため、初期段階からの介入が欠かせません。