姨捨駅が鉄道ファンから聖地として崇められる大きな要因が、現在では全国的にも珍しくなったスイッチバック方式の線路構造です。篠ノ井線のこの区間は最大25パーミル(1,000メートル進むごとに25メートル登る急勾配)の難所に位置しており、1900年(明治33年)の開業当時、蒸気機関車の登坂能力では本線上に駅を設けて直接発着することが極めて困難でした。
そのため、本線から水平な引き上げ線へと分岐させて平坦な場所にホームを造るスイッチバック構造が採用されました。現在運行されている普通列車に乗車すると、駅へ進入する際や出発する際に進行方向を前後に入れ替える独特の運転操作を肌で体感できます。一方で、特急「しなの」などの優等列車は駅に入らず本線の急勾配を一気に駆け抜けていくため、通過列車と停車列車でまったく異なる線路配置のダイナミズムを間近で観察できる点も大きな醍醐味です。