組織規模が大きくなるほど発生しやすいのが、退職挨拶一斉送信の返信マナーと注意点をめぐる現場のパニックです。都内のIT企業でシステム管理部門を統括する関係者の証言によると、「年度末の退職シーズンになると、退職者が全社メーリングリストに送った挨拶メールに対し、悪意のない後輩社員が『全員に返信(Reply-All)』を押してしまう事故が毎年数件から十数件発生する」といいます。
このミスが起きると、数千人規模の全従業員に対して「〇〇さん、これまでありがとうございました!」という私信がブロードキャストされ、それに誘発された他の社員が連鎖的に全員返信を重ねるという「メール爆弾(Reply-All Storm)」へと発展します。結果として社内メールサーバーのトラフィックが逼迫し、業務連絡が遅延する事態すら招きます。
オープンコミュニティやSNS上でも、「退職メールの全員返信で誤爆して始末書を書かされた」「他人の熱烈な思い出話が全社に晒されて空気が凍りついた」といった生々しい告白が散見されます。一斉送信メールに返信する際は、必ず「差出人の個人メールアドレス宛て」に個別返信モードで送信し、メーリングリストやCCのアドレスが宛先から完全に除外されているかを目視確認するプロセスを怠ってはなりません。
さらに、差出人がBCCで配信している場合、受信者側からは他に誰へ送られているか見えません。この配慮に対して送信者へ個別返信するのは問題ありませんが、その際も「BCCでいただきましたが…」といった余計な前置きは省き、純粋にこれまでの感謝のみを述べるのが洗練されたビジネスパーソンの所作です。