国民の不満を徹底的に封じ込めていたのが、悪名高い秘密警察セクリターテです。全国民の数十人に1人が情報提供者として組織され、電話の盗聴、手紙の検閲、家庭内の会話に至るまで網の目のような監視網が敷かれました。
政権批判を行った市民や反体制派知識人は即座に拘束され、拷問や不審死の恐怖に晒されました。エレナはこのセクリターテを私兵のように使い、自らの醜聞や批判を口にする者を徹底的に弾圧。夫の猜疑心を煽っては政敵の粛清を進め、国全体を巨大な監獄へと変貌させていったのです。
しかし、極度の生活苦と恐怖による統制は永遠には続きませんでした。1989年12月中旬、西部ティミショアラで始まった反体制デモの炎は、瞬く間に全国へと拡大。長年蓄積された民衆の怒りが、一気に独裁政権へと向けられることになります。