国家に対する重大な犯罪としては、外患誘致罪のほかに「内乱罪」や「外患援助罪」が存在します。これらは混同されがちですが、保護法益と敵対のベクトルが大きく異なります。
まず、内乱罪との決定的な違いは「外部の敵を利用するか否か」です。刑法77条の内乱罪は、国の統治機構を転覆させる目的で暴動を起こす罪ですが、これは国内勢力による反乱を想定しています。一方、外患罪は外国の軍事力を引き込む点が本質であり、国家への裏切りという観点でより厳しく断罪されます。
また、同じ外患の章に位置づけられる「外患援助罪(刑法82条)」との違いも重要です。
外患援助罪は、すでに他国が日本に対して武力を行使している有事の状況下で、敵国に軍事上の利益を与えたり、日本の軍事上の不利益となる行動を取ったりした場合に成立します。こちらは法定刑に「死刑、無期又は2年以上の懲役」が用意されており、事案に応じた量刑判断の余地が残されています。ゼロから武力を呼び込む「誘致」と、既に始まった戦闘を「援助」する行為で、法律上の評価が明確に分けられています。