東海村臨界事故の被害者が遺した真実 凄絶な治療記録と崩壊の現場

東海村臨界事故の被害者が遺した真実 凄絶な治療記録と崩壊の現場

今注目を集めている 東海村臨界事故の被害者が遺した真実 凄絶な治療記録と崩壊の現場について、詳しいまとめを分かりやすく掲載しています。

高線量の放射線被曝という、前例のない事態に日本の医療陣は直面した。被曝した作業員たちは直ちに千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)へ搬送され、その後、高度な集中治療を行うため東京大学医学部附属病院(東大病院)を中心とする合同医療チームが結成された。

治療の中心となったのは、推定8〜10シーベルト以上という超大量被曝を受けた作業員の大内久氏だった。医療チームは造血幹細胞移植や皮膚移植など、当時の最先端医学の粋を集めて生命の維持を試みた。しかし、中性子線によって染色体がズタズタに破壊された細胞は、新たな血球を作ることも、新しい皮膚を再生させることもできなかった。脈拍が200近くまで跳ね上がり、全身の皮膚が剥がれ落ち、粘膜からの出血が続くなかで、医師や看護師たちは「延命治療は誰のためのものなのか」という壮絶な倫理的葛藤に苛まれた。その熾烈な治療現場の真実は、後にNHKスペシャル『被曝治療83日間の記録』として実名とともに公表され、世界中に大きな衝撃を与えることとなった。

山口 彩花
Author

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。