この特異な空間のルーツは、陶芸の街として名高い栃木県益子町にある。オーナーの仁平透氏が立ち上げた「仁平古家具店」は、廃棄されかけていた日本の古い水屋箪笥や小引き出しを丹念に修復し、その眠っていた美しさを現代の暮らしへ手渡してきた。
その後、大正時代に建てられた広大な大谷石の醤油蔵を再生し、器や衣服まで領域を広げた「pejite 益子」をオープン。地方の豊かな空気感とクラフトマンシップが融合したその試みは、瞬く間に感度の高い愛好家を惹きつけることとなった。そして、その研ぎ澄まされた世界観を東京のカルチャーの結節点へ持ち込む形で誕生したのが、ここ南青山の店舗である。
伝統的な益子焼の文脈を汲みながらも、現代の食卓に鋭く呼応する作家たちの作品。それらが無垢の古木の上に鎮座する光景は、益子の風土が都会の洗練と幸福な邂逅を果たした証拠そのものだ。