肛門疾患の二大巨頭である「いぼ痔(内痔核・外痔核)」と「切れ痔(裂肛)」では、辛い食べ物を摂取した際に受けるダメージの現れ方が異なります。自身のタイプに合わせたリスクの把握が欠かせません。
いぼ痔(痔核)を抱えている場合、最大の脅威となるのがカプサイシンの持つ末梢血管拡張作用とうっ血です。痔核の本態は肛門周囲の静脈叢がうっ血して腫れ上がった静脈瘤のようなものです。辛いものを摂取して血流が急激に変化し、さらに排便時の下痢による強烈な腹圧が加わることで、静脈の腫れが一気に増大します。その結果、普段は引っ込んでいる内痔核が外へ飛び出す「脱肛」を引き起こしたり、血栓が形成されて激痛を伴う「血栓性外痔核」へと急変するリスクが高まります。
一方、切れ痔(裂肛)の場合、直面するのは耐え難い鋭い激痛と傷口の再破裂です。裂肛は肛門管の皮膚が裂けて潰瘍化している状態であるため、便に含まれるカプサイシンが直接神経の露出した傷口に触れます。これにより、排便中だけでなく排便後も数時間にわたってズキズキとした激痛が持続します。痛みのあまり肛門括約筋が異常に緊張・痙攣し、血流が悪化して傷の治癒が大幅に遅れるという悪循環に陥るケースが後を絶ちません。