波乱に満ちた中村玉緒の人生において、もう一つの深い苦悩が子供たちを巡る問題でした。勝新太郎との間には、長女の奥村真粧美と、長男の鴈龍(本名・奥村雄大)という一男一女が誕生しました。
元女優として活動した長女・真粧美は、父・勝新太郎の個人事務所でマネージャーを務めるなど一家を献身的に支え、母・玉緒にとっても最も信頼できる人生の伴走者となりました。
一方で、父と同じ俳優の道を志した長男・鴈龍の道程は険しいものでした。1989年の映画『座頭市』撮影中の真剣死亡事故に関与したことによる活動自粛や、二世俳優としてのプレッシャーに苦悩。中村玉緒は息子の更生と自立を願い、あえて経済的支援を断つなど厳しくも愛情深い姿勢で見守り続けましたが、2019年、鴈龍は55歳の若さで急性心不全により急逝しました。最愛の息子に先立たれた母の悲痛な思いは計り知れませんが、彼女はその深い悲しみすら胸の奥に秘め、公の場では毅然とした姿を保ち続けました。