競馬ファンの間で「荒れる福島」と定着している最大の理由は、小回り特有のラップ構造とコースの高低差が引き起こすペースの歪みにあります。中央4場(東京・中山・京都・阪神)とは根本的に異なるレース展開が、波乱の温床を生み出しています。
第1の要因は、向正面から始まるロングスパート合戦です。福島競馬場は直線が短いため、どの騎手も「前に行かなければ届かない」という強烈な心理的プレッシャーを抱えています。その結果、残り800m付近から各馬が一斉に仕掛け始め、息の入らないハイペースへ突入します。これにより、逃げ・先行馬が直線半ばで力尽き、後方に控えていた単勝2桁人気馬がインや大外から強襲するシーンが頻発するのです。
第2の要因は、開催の後半に見られる馬場状態の急激な悪化です。福島競馬は年間を通じて春・夏・秋の3開催に分かれていますが、いずれも開催日数が進むにつれて内ラチ沿いの芝が激しく掘れ返されます。インコースを通った有力先行馬がスタミナを失い、外の荒れていないグリーンベルトを通った伏兵馬が一気に突き抜けることで、大穴の決着を生み出します。
第3に、出走馬の能力差が極めて小さい「ローカルハンデ戦・ローカル条件戦」が組まれている点です。絶対的な主役が不在の混戦レースが多く、わずかな枠順の利や展開のアヤ、斤量の差が着順を根底からひっくり返します。