道東の要衝として栄える帯広市。広大な農地が広がる十勝地方は、言わずと知れた日本有数の食料供給基地だ。だが、この地で独自の麺文化がこれほど急速に成熟していた事実は、全国的にはまだあまり知られていない。
北海道観光振興機構が推進する体験型観光やフードツーリズムの広がりも手伝い、旅行者の関心は単なる名物巡りから「地元のリアルな食卓」へとシフトしている。その受け皿として突如脚光を浴びているのが、十勝の豊かな食材を贅沢に使った新たなご当地ラーメンの潮流だ。
「豚丼用の高品質な豚骨が日常的に手に入る環境が、スープの劇的な進化を後押しした」と地元古参の店主は語る。豚肉文化の副産物として磨かれた出汁の技術は、いつしか既存の枠組みを超え、全国のラーメンファンを唸らせるポテンシャルを蓄えるに至った。