全国各地の重要文化財や歴史的洋館を訪れると、数百円から千円前後の拝観料や入場料が設定されているケースが一般的です。しかし、ネオ・バロック様式の傑作と称される名古屋市市政資料館は、開館以来一貫して入館料無料を貫いています。
その最大の理由は、この施設が単なる観光名所ではなく、名古屋市の「公文書館」としての公的機能を担っている点にあります。1922年(大正11年)に「旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎」として誕生したこの建物は、1979年に裁判所が移転した後、保存運動を経て1989年に名古屋市の公文書館として再生しました。
公文書館法に基づき、市政に関する公文書や歴史的資料を市民共有の財産として適切に保存し、誰にでも公平に公開することが本来の使命です。そのため、地方自治体として「市民をはじめとする全ての来訪者が、歴史的遺産と行政情報に負担なくアクセスできる場」として運営費を市が公費で賄っており、入場料を徴収しない体制が維持されています。