俳優としての原点は、専修大学法学部に在学していた時代に遡ります。大学進学を機に上京した温水さんは、学内の演劇サークル「劇団二見座」に入団。ここで芝居の面白さに目覚め、本格的に役者を志すようになりました。
大学卒業後の1988年、松尾スズキさんが旗揚げした劇団「大人計画」の創設メンバーとして参加します。現在でこそ宮藤官九郎さんや阿部サダヲさんらを擁する超人気劇団ですが、当時は無名の小劇団に過ぎず、観客が数人しか入らない過酷な下積み時代を経験しました。
当時の温水さんは、劇団の看板俳優として数々の前衛的な舞台で怪演を披露。稽古と並行して居酒屋の厨房や道路工事などのアルバイトに明け暮れ、風呂なしアパートで極貧生活を送りながら演技力を研ぎ澄ませていきました。大人計画での先鋭的な演劇経験が、後に映像作品で見せる「静かな狂気」や「圧倒的なリアリティ」の強固な土台となっています。