続いて彼女が挑んだのが、浅野いにおの伝説的コミックを実写化した『うみべの女の子』だ。思春期特有の性と心の揺らぎ、言葉にできない焦燥感を描いたこの難作で、彼女は主人公の小梅を演じきった。地方都市の閉塞感のなか、身体の関係を重ねることでしか誰かと繋がれない少女の孤独。その痛切な叫びが、海風の湿り気とともに伝わってくるような名演だった。
過激な描写に逃げることなく、心の奥底にある空洞を瞳の奥に宿す。彼女が見せたのは、単なる思春期の傷つきやすさではなく、人が生きる上で避けて通れない残酷な成長の通過儀礼そのものだった。彼女の存在によって、原作の持つ叙情性と生々しい痛みが、確かな実体を持ってスクリーンに立ち現れたと言える。