早朝の凍てつく寒さの中、神戸のリンクへと車を走らせる日々。フィギュアスケートを続けるための経済的・時間的負担は決して小さくなかったが、修一氏をはじめとする家族が見せたのは「犠牲」としてのサポートではなかった。娘が氷の上で見せる純粋な笑顔そのものを、家族全体の喜びへと変えていった。
ジュニアからシニアへと移行する過程で訪れたスランプや怪我の苦悩。重圧に押しつぶされそうになった花織を救ったのは、「お前が楽しそうに滑っている姿を見るのが一番だ」という父の飾らない言葉だった。競技者としてではなく一人の人間として無条件に肯定される家庭環境があったからこそ、彼女は何度でも氷上へ立ち上がることができた。