日本文学史において、茨木のり子の立ち位置は唯一無二です。難解な観念論や過度な修辞に陥りがちだった戦後詩の世界において、彼女は一貫して「誰にでも届く明晰な言葉」と「妥協のない思想」を両立させました。難解さを誇るのではなく、誰もが理解できる言葉で最も深い真実を語る技術こそが、彼女の卓越した文学的才能です。
批評家や文学研究者からも、戦後デモクラシーの理想と自立精神を最も純粋に体現した詩人として絶大な評価を受けています。SNSの普及などにより、他者との比較や承認欲求に疲れ果てた現代の人々にとって、自らの足で立つことを肯定してくれる彼女の詩集は、精神の解毒剤のような役割を果たしています。