電子レンジの汚れが普通の水拭きや台所用洗剤でビクともしないのには、明確な科学的理由があります。庫内に付着する汚れは単一のものではなく、「酸性の油汚れや食品カス」と「アルカリ性のミネラル分や焦げ付き」という正反対の性質を持つ汚れが複雑に重なり合っているためです。
料理を温めた際に飛び散った肉汁や油、ソースなどは「酸性」の汚れです。これらは付着した直後なら簡単に拭き取れますが、そのまま何度も加熱を繰り返すことで水分が蒸発し、熱によって油が酸化・樹脂化します。さらに加熱が加わると最終的に「炭化」して黒褐色の頑固な焦げ付きへと変化してしまうのです。
一方で、吹きこぼれた汁に含まれるカルシウムや水道水の水滴が乾燥して残った水垢は「アルカリ性」の性質を持ちます。酸性の油膜の上にアルカリ性の水垢や炭化した焦げが何層にもミルフィーユ状に焼き付いているため、水拭きだけでは表面を撫でるだけで深部の汚れに洗剤成分が届きません。この複雑な構造を攻略するには、それぞれの汚れに合わせた中和反応とスチームの力を利用するのが最短ルートです。