保護者が導入教材を検討する際、教室から提示される選択肢として「バイエル」「ピアノアドベンチャー」「オルガン・ピアノの本」、そして「ぴあのどりーむ」が挙げられます。それぞれのメソッドが目指す方向性の違いを比較すると、教育方針ごとの向き不向きが浮き彫りになります。
まず、長年日本で主流だった「バイエル」との比較です。バイエルは徹底して指の独立と反復練習を重んじる反面、旋律の音楽的変化に乏しく、初期段階で左手が「ドソミソ」の伴奏に固定されがちです。これにより、現代の子どもが退屈を感じてピアノ嫌いになるケースが多発しました。対する「ぴあのどりーむ」は、短い小品ごとに明確な情景が描かれており、子どもが物語を想像しながら弾ける点に決定的な優位性があります。
一方、近年指導者の間で急速に普及している「ピアノアドベンチャー」との違いはどうでしょうか。ナンシー&ランダル・フェイバー夫妻が開発したピアノアドベンチャーは、身体の使い方、即興演奏、コード理論(リードシート奏法)を全方位から学ぶ総合音楽教育です。これに対し、「ぴあのどりーむ」は純粋にクラシック音楽の伝統的な譜読みシステムに軸足を置いています。
ジャズやポップスを含む自由な音楽性や初見力を伸ばしたい場合はピアノアドベンチャーが適していますが、日本の多くのピアノ発表会で定番とされるクラシックの名曲を、正しい姿勢と美しい音色で弾くための基盤作りという観点では、「ぴあのどりーむ」のほうが日本の教育現場に調和しやすいと言えます。