ネット上の情報で最も美化されがちなのが、「実務経験を積んで独立すれば、誰でも年収1000万円」という外部委託の神話です。経済産業省が定める実務経験(3種の場合は通算3年〜5年以上)を満たし、保安管理業務の外部委託承認を受けることで個人事業主として独立する道は、確かに存在します。
電気主任技術者の独立時の年収は、受託件数を上限枠(換算値33点ルール等)いっぱいまで確保できれば、売上800万〜1200万円に達し、経費を差し引いた実質所得でも700万〜900万円前後を稼ぎ出すことは十分に可能です。
しかし、そこには一般に語られない3つの致命的なハードルが潜んでいます。
- 初期投資の重さ:高圧絶縁抵抗計、継電器試験装置、接地抵抗計など、保安業務に必要な測定機器を一式揃えるだけで200万〜300万円規模の初期費用が消し飛びます。
- 泥臭い新規開拓営業:既存の物件は地元の電気保安協会や大手管理会社が強固に押さえており、独立当初に受託物件を自力で獲得できず、数年間下請けの安買いたたきに耐えるケースが多発しています。
- 24時間365日のオンコール地獄:単独で開業した場合、受託先で漏電やトリップが発生すれば、冠婚葬祭であっても現場へ急行しなければなりません。代務者ネットワークを築けない技術者は、心休まる休日を完全に失うことになります。