鼻の奥(上咽頭)と鼓膜の奥にある中耳腔は、「耳管」と呼ばれる細い管で物理的につながっている。本来、耳管は気圧調整や中耳内の分泌物を排出する防衛弁として機能しているが、副鼻腔炎によって鼻粘膜が広範囲に腫れ上がると、このシステムは瞬時に破綻する。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が示す知見でも、鼻腔内の細菌やウイルスが耳管粘膜へと波及し、換気・排泄機能が阻害される病理が明確に解説されている。
粘膜の炎症が耳管に及ぶと、管の内腔が狭窄または閉塞する耳管機能不全を引き起こす。中耳腔が密閉された結果、内部は陰圧となり、鼻の奥に停滞していた病原性の濃い鼻汁が耳管を通じて中耳へと吸い上げられてしまう。これが、鼻のトラブルが耳の疾患へと直結する感染の全貌だ。