菊池常利の名を音楽史に深く刻み込んだ最大の転機は、間違いなく嵐のデビュー曲『A・RA・SHI』の作詞だろう。当時は「J&T」というペンネームを使用していたため、リリース初期に彼が作者であることを知る人はごくわずかだった。キャッチーでありながら若者の疾走感と戸惑いを絶妙に捉えたリリックは、四半世紀が経過した現在も色褪せることなく歌い継がれている。
フォークグループ「グループ現代」での活動を経てソロへと転身した彼は、キャッチーなメロディラインと心に刺さる言葉選びに長けていた。ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)への楽曲提供は単なるビジネスにとどまらず、時代の空気感を切り取る確かな職人技の産物だったのだ。ヒットメーカーとしての地位に甘んじることなく、常に現場で泥を汗に帰すスタンスこそ、彼のクリエイターとしての原点と言える。