日本人の心情において、異界の住人は常に身近な隣人だった。その原点を築いたのは、まぎれもなく漫画家の水木しげるだ。恐ろしくもどこかユーモラスで憎めない妖怪たちの姿は、恐怖を親しみへと変換する日本独自の感性を決定づけた。この土壌に、海外から輸入されたクラシックアニメの『キャスパー』や、ティム・バートン監督が描いた『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のダークファンタジー世界が重なり合う。ゴーストという概念は、時間をかけて「怖がるもの」から「愛でるもの」へと脱皮していった。
2000年代以降、地方自治体や企業が牽引したゆるキャラブームもこの流れを加速させた。輪郭を崩し、脱力感を宿らせる造形術。恐ろしいはずの幽霊やお化けが、癒やしのアイコンへと反転する。いま目の前にある愛らしいゴーストたちは、半世紀以上にわたる視覚文化のハイブリッドが生み出した必然の結晶なのだ。