そもそも「シャバ」という言葉の根っこは、サンスクリット語の「サハー(堪忍世界)」にまで遡る。仏教用語として「苦難に満ちた現世」を意味していた言葉が、明治期以降の警察・刑務所隠語として「監獄の外の自由世界」を指すようになった。そして昭和後期、ヤンキー映画や不良漫画の台頭とともに、「シャバの空気に慣れすぎて腑抜けた奴」「自由な世界で甘やかされた軟弱者」を揶揄する「シャバい」という形容詞が完成する。
時代の波に洗われ、一度は歴史の表舞台から姿を消したかに見えたこの言葉。だが、ショート動画の爆発的な拡散力と、レトロカルチャーを面白がるZ世代・α世代の鋭いアンテナが、地下で眠っていたスラングを掘り起こした。昭和の泥臭さと、令和のデジタルカルチャーが交差した瞬間だった。