「道に迷うという現象は、Z世代後半やアルファ世代にとって歴史上の言葉になりつつあります」。認知心理学を専門とする東京大学の空間情報研究者はそう指摘する。
目的地までの最短距離が常に最適化され、視覚・聴覚にダイレクトに提示される環境下では、人間が頭の中で立体的な地図(認知マップ)を構築する能力が著しく低下しているという実験データもある。裏路地の小さな名店に偶然行き当たる興奮や、遠回りした先で見つけた季節の移ろい。最適化されたアルゴリズムの導線に乗る日常は、予測可能性と引き換えに、私たちの探求心を緩やかに奪っているのかもしれない。