「約9兆4600億キロメートル」という数値を耳にしても、生身の人間にはその長大さが直感的にピンとこないのが普通です。そこで、人類が保有する乗り物や探査機を用いて1光年を移動した場合、目的地に到達するまでに一体何年かかるのかを具体的に試算してみましょう。
時速300キロで走行する新幹線、時速900キロのジェット旅客機、そして秒速約17キロ(時速約6万1200キロ)で太陽系外へ飛行を続ける無人探査機「ボイジャー1号」の航行速度を基準に比較します。
新幹線で1光年を進む場合、不眠不休で走り続けても約360万年という途方もない歳月が必要です。人類の祖先である猿人が直立二足歩行を始めた頃から現在まで走り続けて、ようやく1光年に手が届く計算になります。ジェット旅客機を利用しても約120万年を要します。
では、人類が開発した最速クラスの宇宙探査機ではどうでしょうか。秒速約17キロメートルという猛スピードで宇宙空間を移動するボイジャー1号であっても、1光年の距離を走破するには約1万7500年〜1万8000年かかります。さらに、太陽系から最も近い恒星系である「プロキシマ・ケンタウリ」(約4.24光年)を目指すとなれば、現在のロケット技術では約7万5000年以上の旅路となるのが冷酷な現実です。
SF映画のように「数週間のワープ航法」や「数年のコールドスリープ」で恒星間を移動することは、現代の物理学と推進力工学においては夢のまた夢であり、1光年という距離がいかに隔絶された壁であるかが浮き彫りになります。