一歩足を踏み入れると、天井に広がる木製アーチの幾何学模様に目を奪われる。この建物を唯一無二たらしめているのが、世界屈指の規模を誇る木造膜構造建築としてのアイデンティティだ。施工を手掛けた鹿島建設の高度な建築エンジニアリングにより、アーチ部分には粘り強い集成材が惜しみなく採用され、中央部を吊り膜で支えるハイブリッド構造が実現した。
第一線で活躍する一級建築士たちも、この複雑な応力計算と木材の美観を見事に両立させた手腕を絶賛する。鉄骨造の無機質なスタジアムとは一線を画し、木材特有の呼吸感や調湿作用が館内に独特の清々しい空気感をもたらしているのだ。昼間は人工照明をほとんど必要とせず、トップライトから差し込む光がグラウンドを均一に照らし出す。