そもそもバレンタインデー=砂糖たっぷりの甘いチョコレートという構図は、近代の商業的なマーケティングによって定着した側面に過ぎない。本来のカカオは、古代メソアメリカにおいて神々の飲み物であり、薬であり、ときにスパイシーな調味料として重用されていた歴史を持つ。
名作映画『ショコラ』を思い起こしてほしい。物語の中で主人公が人々の心と好みを解き明かし、それぞれに最適なカカオの形を差し出したように、ギフトの本質とは画一的な押し付けではなく、個々の人間性に合わせた対話にある。甘さを抑えたスパイスインカカオや、カカオニブの香ばしさを活かした料理向け食材など、歴史に根ざした新しいアプローチも大人の贈り物として密かな注目を集めている。