映画のポスターや宣伝で社会現象となった「生きろ。」という短くも重厚なキャッチコピー。これを考案したのは、コピーライターの糸井重里氏だ。当時、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫氏と糸井氏との間では、作品の核心をどう一言で表現するかをめぐり、膨大な言葉のやり取りが重ねられたという。
当初出された案の数々は、作品の持つ凄絶な熱量や複雑なテーマ性を前にして、どこか物足りなさを拭えなかった。葛藤の末に削ぎ落とされ、最後に残ったのがたった三文字の「生きろ。」だった。時代がバブル崩壊後の閉塞感に包まれていた1990年代後半、この一言は映画という枠組みを飛び越え、人々の生存本能に直接語りかける強烈なメッセージとなったのだ。