日韓の経済比較において最も本質的でありながら見落とされがちなのが、産業のピラミッド構造の違いです。韓国経済を象徴するサムスン電子と日本企業の収益構造を比較すると、両国の決定的な違いが浮かび上がります。
サムスン電子や現代自動車、SKハイニックスといった巨大複合企業は、グローバル市場で卓越した営業利益を叩き出し、そこで働く正規雇用エリートには破格の待遇を約束しています。サムスン電子の平均年収は1億ウォン(約1,100万円超)を優に超え、成果給を含めれば日本の大手商社やメガバンクに匹敵します。半導体やEVバッテリーなどの先端領域に巨額の資本を集中投下する財閥モデルは、意思決定のスピードと規模の経済において日本の総合電機メーカーを圧倒してきました。
しかし、その華々しい光の裏には濃い影が落ちています。それが財閥企業と中小企業の格差です。韓国では全就業者の約8割以上が中小企業に勤務していますが、大企業と中小企業の賃金格差はおよそ2倍近くに達します。大企業を100とした場合、中小企業の賃金水準は50〜55前後に留まり、福利厚生や雇用の安定性を含めた格差は極めて過酷です。
対する日本の産業構造は、トヨタ自動車を頂点とする自動車産業や産業機械、電子部品などのすそ野が広く、中堅・中小企業でも世界シェアを持つニッチトップ企業が多数存在します。日本の大企業と中小企業の賃金格差は75〜80程度に収まっており、社会全体の富の分配という観点では、日本の方が圧倒的に中間層の厚みを保っているのです。韓国における給与の「平均値」は、一握りの財閥エリートの莫大な報酬によって大きく引き上げられている側面を無視できません。