だが、半導体業界は還元だけで生き残れるほど甘い世界ではない。競合する韓国のサムスン電子やSKハイニックスは、DRAMとNANDの双方を抑え、HBM(高帯域幅メモリ)の波に乗って大規模な設備投資を継続している。キオクシアが還元に舵を切る一方で、将来の成長投資を疎かにするのではないかという懸念の声が上がるのも自然な流れだ。
これに対し、キオクシア経営陣の回答は極めて明確である。第8世代・第9世代にあたる「BiCS FLASH」の量産化ラインはすでに確立されており、研究開発費と主要設備投資の予算は十分に確保されている。投資の質を高め、過剰な無駄を省いた上で余剰金を還元に充てる手法は、力まかせの量率競争から「資本効率重視の質的競争」へと戦い方のルールが変わったことを象徴している。