どれほど精緻にキャベツを刻んでも、調理前後の下処理を誤ればすべてが水泡に帰す。有名専門店が厨房で徹底しているのが、キャベツの水分を出さない下処理方法である。
プロが最も忌避するのは、「刻んだ後にキャベツを水にさらす」行為だ。切り口から余計な水分を吸い上げると同時に、ビタミンや糖分が水中に溶出してしまう。正解の手順は、「刻む前に外葉を流水で洗い、ペーパータオルで水滴を完全に拭き取ってから切る」こと。さらに、切る道具には研ぎ澄まされた牛刀や三徳包丁を用いる。切れ味の鈍い刃物で押し潰すように切ると、細胞組織が押し潰されて断面から果汁のように水分が染み出してしまう。
切った後のキャベツはザルに広げ、冷蔵庫で30分ほどラップをかけずに冷やしておくのもお好み焼き名店プロの切り方秘訣の一つだ。表面の余分な湿り気が飛び、低温で細胞が引き締まるため、生地と合わせた際に水分が出にくくなる。
そして、関西風における至高のバランスがお好み焼きキャベツと生地の黄金比率である。多くの家庭では小麦粉生地が多すぎる傾向にあるが、名店の計量は「キャベツ150gに対し、小麦粉と出汁を合わせた緩い生地はわずか45〜50g」。ボウルの中で合わせる際も、決して練り込んではならない。スプーンを底からすくい上げるように「空気を含ませながら10回から12回程度さっくりと混ぜる」だけで十分だ。キャベツの表面に薄い生地の膜がまとわりついている程度の状態で鉄板に落とすことが、内部が蒸気でふっくらと膨らむ絶対条件となる。