毎朝セットが決まらない最大の要因は、髪のくせそのものではなく「直毛向けのスタイリング理論」をそのまま当てはめている点にあります。くせ毛の内部はタンパク質の結合が不均一で、乾燥しやすく空気中の水分を吸収して膨張する性質を持っています。そのため、無理にブローやヘアアイロンで熱変形させても、外気と触れ合った瞬間に元の形状へ戻ろうとする反発力が働きます。
この物理的性質を逆手に取るのが、現在支持を集める質感コントロール技術です。ニュアンスパーマやスパイラルパーマを人工的にかける際、スタイリストはロッドを使って毛束にS字やC字の歪みを作り出します。つまり、もともとウェーブやうねりを持っている天然パーマは、あらかじめ「パーマのベースが完成している状態」にほかなりません。
毛束の方向性を揃えるレイヤーカットを施し、不足している油分とツヤを補うだけで、ボサボサに見えていたうねりは意図的な毛流れへと変化します。「直さなければならない欠点」から「お金を払っても手に入らない天然のパーマデザイン」へと意識を切り替えることが、劇的な変貌を遂げる出発点になります。