「へそのごまを取るとお腹が痛くなる」という昔ながらの言い伝えは、単なる迷信ではなく明確な解剖学的根拠に基づいています。おへその直下には腹膜が近接しており、神経が刺激を受けやすいため、強い刺激を与えるだけで反射的に腹痛を感じることがあります。
さらに深刻なのは、無理な処置や放置が招く疾患リスクです。知っておくべき代表的な2大トラブルを解説します。
1. 臍炎(さいえん)の発症リスク
塊を無理に剥がしたことで生じた微細な傷口から、黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が侵入して発症します。初期症状は局所の赤みや軽いかゆみですが、進行すると悪臭を伴う浸出液や排膿、激しい自発痛、発熱を伴います。へそのごまを放置しすぎて巨大な臍石となり、それが皮膚を圧迫潰瘍化させて臍炎に至るケースも報告されています。
2. 先天性疾患「尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)」の合併症
胎児期にお母さんから栄養や老廃物をやり取りしていた管(尿膜管)は、通常出生までに自然に閉塞して靭帯となります。しかし、これが完全に閉じずに残ってしまう先天異常が尿膜管遺残です。成人になってからへその刺激や細菌感染をきっかけに感染性尿膜管嚢胞などを発症すると、へそからの持続的な排膿だけでなく、下腹部全体の激痛や腹膜炎を引き起こし、全身麻酔下での外科手術が必要になるケースがあります。