なぜこれほどまでに正反対の意味で定着してしまったのでしょうか。最大の理由は、「燃え盛る火の中から栗を取り出す」という強烈なビジュアルイメージにあります。
「火の中」という過酷な状況から物を救い出す行為そのものが、並外れた勇気や決断力を連想させます。そのため、少年漫画の主人公のような「あえて危険な道を選ぶ勇者」の姿が重ね合わされ、「リスクを恐れぬ果敢な行動」というポジティブな誤解へとすり替わっていきました。
さらに日常会話において、文脈上の「騙した張本人」の存在が省略され、「大変な仕事を引き受けた人物」だけにスポットが当たった結果、「困難に立ち向かう美談」として一人歩きを始めた経緯があります。