この宿の最大の魅力は、なんと言ってもその立地にある。太海海岸の切り立った崖にへばりつくように建てられた木造の意匠は、まるで荒波の上に浮いているかのような錯覚を覚えさせる。ロビーに足を踏み入れた瞬間から、視界を埋め尽くすのは圧倒的なブルー。余計な装飾を削ぎ落としたシンプルなインテリアが、主役である海の表情を最大限に引き立てている。
建築としても非常に興味深い。傾斜地という厳しい制約を逆手に取り、どのエリアにいても海との距離が近く感じられるよう緻密に計算されている。刻一刻と変化する空の色、波のしぶき、潮の香り。建物全体が巨大な自然のレシーバーとして機能しているかのようだ。