土留めの要「腹起し」の真実|計算・施工基準と崩壊防止の要諦

土留めの要「腹起し」の真実|計算・施工基準と崩壊防止の要諦

土留めの要「腹起し」の真実|計算・施工基準と崩壊防止の要諦にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

安全な支保工計画を成立させる根幹となるのが、山留め工における腹起しの計算です。国土交通省の『道路土工 仮設構造物工指針』をはじめとする各種基準に基づき、背面の土質定数(粘着力 $c$、内部摩擦角 $\phi$、単位体積重量 $\gamma$)および地下水位から算出された側圧力を元に、水平方向の等分布荷重($q$)を算定します。

構造計算の実務では、土留め腹起しの断面算定において腹起しを切り梁を中間支点とする「連続梁」または安全側を見込んだ「単純梁」としてモデル化します。切り梁スパン長を $L$ としたとき、最大曲げモーメント $M = \frac{qL^2}{8}$(単純梁時)や $M = \frac{qL^2}{10}$(連続梁時)を求め、作用する曲げ応力度 $\sigma_b = \frac{M}{Z}$($Z$ は断面係数)を算出します。さらに、温度変化や火打ち梁からの分力による軸力($N$)が作用する場合は、曲げと圧縮の複合応力として検証しなければなりません。

ここで照査の基準となるのが腹起しの許容応力度です。仮設構造物である土留め支保工は通常、「短期許容応力度」を設計限界として採用します。標準的な構造用鋼材であるSS400材の場合、長期許容曲げ応力度約$140\,\mathrm{N/mm^2}$に対し、1.5倍の割り増しを適用した約$210\,\mathrm{N/mm^2}$(SM490材では約$280\,\mathrm{N/mm^2}$)を限界値として応力比(検定比=発生応力/許容応力)が1.0以下(実務設計では安全率を担保して0.85〜0.90以下が推奨される)に収まる部材サイズ(H形鋼の寸法)を選定します。くわえて、地盤沈下や周辺インフラへの影響を防ぐため、たわみ量に関してもスパン長の1/400〜1/500以内という厳重な制約が架せられます。

山口 彩花
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山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。