ネット上の議論では、「LGBTQ+理解を推進する勢力 vs 伝統的な保守派」といったイデオロギーの対立構図として語られがちでした。しかし、この問題を環境心理学や防犯の視点から紐解くと、より構造的な盲点が浮かび上がります。
最大の誤解は、「多目的トイレ(だれでもトイレ)」の機能不全をジェンダーレストイレが肩代わりできるという幻想です。多目的トイレは本来、車椅子利用者やオストメイト、重度介助を必要とする人々のための設備でした。そこに「性別を問わないトイレ」という役割まで過剰に詰め込んだ結果、真に多機能設備を必要とする社会的弱者が長時間待たされるという二次被害が全国で多発しました。
犯罪学における「防犯環境設計(CPTED)」の観点から見ても、歌舞伎町タワーのような共用手洗い場は致命的な欠陥を抱えていました。「入り口に明確な境界線がない空間」は、犯罪企図者にとって侵入の口実を与え、周囲の監視性を無力化します。「女性専用」という明確な心理的バウンダリー(境界線)が存在するからこそ、不審者の侵入に対して即座に警報を鳴らす社会的規範が機能していたのです。