栄華を極めたクリスのキャリアにおいて、最大の「負の遺産」となったのが超大型時代劇ドラマ『青簪行』だ。中国の動画配信最大手Tencent Video(騰訊視頻)が社運を賭け、総製作費3億〜4億元(約60億〜80億円)規模を投じたこのプロジェクトは、彼の逮捕によって完全に闇へと葬り去られた。
撮影完了後、Netflixなど世界的なプラットフォームへの展開も視野に入っていたとされる本作は、主演俳優の犯罪発覚により中国当局の「劣迹芸人(問題を起こした芸能人)」リストに指定され、配信禁止処分を受けた。AI技術による顔の差し替えや代役を立てた再撮影など莫大な追加コストをかけた救済策が模索されたが、デジタル空間からの完全抹消という当局の厳しい姿勢の前に、利権は事実上灰燼に帰した。巨額投資が一夜にして吹き飛ぶリスクを、中国エンタメ業界全体に痛感させた象徴的事例である。