1984年にリリースされた中森明菜の原曲は、萩田光雄による煌びやかなシンセサイザーと歌謡ロックのグルーヴが特徴で、ツッパリブームの時代背景を色濃く反映したエネルギッシュな名演でした。一方、後に作詞作曲者である井上陽水自身がセルフカバーしたバージョンは、陽水特有の飄々としたブルースフィーリングと大人の色香が漂う仕上がりとなっています。
これらレジェンドたちの名演に対し、King Gnuのカバーは徹底的にテンポ感とダイナミクスを研ぎ澄ませています。イントロの不穏なストリングスとピアノのフレーズから一気にヘヴィなバンドアンサンブルへとなだれ込む構成は、映画のオープニングを思わせる劇的な演出です。原曲が持つ「泣かない強がり」の裏にある脆さを、現代的なオルタナティブ・ロックの解釈によって鮮烈に浮き彫りにしています。