単なる筋力強化にとどまらず、肋木は臨床の現場で極めて重要な治療器具として機能している。代表例が、ドイツのカタリーナ・シュロスが確立したシュロス法だ。脊柱側弯症に対する運動療法として世界的に知られるこの独自メソッドでは、肋木のバーをミリ単位で握り分け、3次元的な呼吸法と筋肉の非対称な収縮を組み合わせることで、側弯した背骨のアライメントを整えていく。
日本国内においても、公益社団法人日本理学療法士協会に所属するセラピストたちが、運動器リハビリや理学療法のアプローチとして肋木を再評価している。重力によって圧迫された椎間板の除圧、胸郭の拡張、骨盤の傾斜補正。壁面に固定された複数のバーがあるからこそ、患者の体格や拘縮レベルに合わせた繊細な負荷調整が可能になる。