台湾料理 天和の真骨頂を味わうなら、看板メニューである「魯肉飯」を語らずには始まらない。器の上にうずたかく盛られた豚バラ肉は、箸で触れた瞬間に崩れそうなほど柔らかい。秘伝のタレでじっくりと煮込まれ、甘辛い醤油の奥からエシャロット(紅葱頭)の香ばしさと五香粉の余韻が押し寄せる。脂っぽさは微塵もなく、米の一粒一粒にタレが絡みつき、気付けば丼が空になっている。
もう一つの主役が、注文を受けてから蒸し上げる「小籠包」だ。薄皮の限界に挑んだ極薄の生地を破ると、澄み切った黄金色のスープが溢れ出す。豚肉の純粋な旨味と生姜のキレが絶妙な調和を描き、何個でも食べ進められる軽やかさがある。台湾料理の本質である「素材の持ち味を引き出す技」が、この小さな点心の中に凝縮されている。