拠点である栗東トレーニングセンターにおいて、彼は常に「馬の力を100%引き出すこと」だけに心血を注いできた。だが、中央競馬の第一線で結果を出し続けることは容易ではない。どれほど入念に調教を重ねても、実戦のわずかコンマ数秒の差が命運を分ける。
そんな追い詰められた時期に、彼に大きな影響を与えたのがレジェンド・武豊の存在だったという。騎手控室で静かに交わされた幾つかの言葉。「己の競馬を崩すな」。そのシンプルなひとことが、暗闇の中でもがき続けていた彼の支えとなった。トップジョッキーから受け継いだ流儀と、自分自身の信念の間で揺れ動きながらも、彼は愚直に前へと進み続けた。