ベリョースカの代名詞ともいえるのが、「フローティング・ステップ(浮遊歩行)」と呼ばれる独特の歩き方です。観客の目には、まるでダンサーたちが動く歩道に乗っているか、見えない糸で天井から吊り下げられてスーッと運ばれているかのように映ります。
人間が普通に歩く際、頭や肩は歩幅に合わせて必ず上下左右に揺れます。しかしベリョースカのダンサーたちは、頭頂部の位置をミリ単位で一定に保ったまま移動します。この「頭部と上半身の完全な水平維持」こそが、人間の脳に「浮いている」と錯覚させる最大の理由です。
この動きを可能にしているのは、徹底した体幹の固定と下半身の独立した動作にあります。上半身は優雅な笑みを浮かべながら微動だにせず、下半身だけが驚異的なスピードと細かさで駆動する、究極の身体コントロールが舞台上で繰り広げられています。