その変革を決定づけたのが、映画史に刻まれる名匠マーティン・スコセッシ監督作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』である。1920年代のオセージ族連続怪死事件を映画化した本作において、圧倒的な存在感を放ったのが主演のリリー・グラッドストーンだった。彼女が放つ静謐で気高い演技は世界中の批評家を唸らせ、先住民族の俳優として歴史的な映画賞ノミネートを次々と果たした。
彼女の成功は一過性のブームではない。18世紀のコマンチ族の戦士を描いたSFアクション映画『プレデター:ザ・プレイ』が、主演俳優をはじめキャストに先住民を積極的に起用し、コマンチ語吹き替え版まで制作されて大ヒットを記録したように、ジャンル映画の最前線でも当事者によるオーセンティックな表現が確固たる商業的成功を収めている。