『HUNTER×HUNTER』の根幹をなす概念「念能力」。通常の能力者は過酷な修業や生命力の開花によって能力を得るが、コムギの覚醒プロセスは極めて特殊だった。彼女は自分が「念」を使っている自覚すら持っていなかった。
コムギは「軍儀で負けたら死ぬ」という極端な制約と誓約を自らに課していた。生来の盲目であること、家族の生活を一人で支えているという極限状態が、能力の覚醒を極限まで加速させた。メルエムとの果てしない対局の中で、彼女の思考力はさらなる高みへと昇華され、対局の真っ最中に念能力が覚醒する。
その能力は、軍儀の盤上において無数の戦術と手筋を無限に生み出す専門特化型の才。オーラを可視化できないメルエムすらも、彼女の頭上に立ち上る圧倒的な気迫と覚悟のオーラを感じ取った。暴力でも超能力でもなく、ただ純粋な「意志の昇華」によって咲いた念の花弁。これこそが、冨樫義博が描いた最も美しく残酷な覚醒の瞬間であった。