なぜこれほどまでに、人々の心は芸能人の過ちに冷淡になったのか。最大の理由は、実生活のゆとりの喪失とゴシップ報道の乖離にある。生活コストが上昇し、日々の生計を立てることに誰もが必死な中で、華やかな世界に身を置くタレントのプライベートな過ちなど、身をつまされる実感が一切湧かないのだ。
第二に、怒りの消費構造に対する学習効果が挙げられる。かつては好奇心で消費されていたスキャンダルも、現在では「単なるアクセス数稼ぎ」「スポンサーへの嫌がらせ運動」として裏の意図が透けて見えるようになった。視聴者はメディアの演出する怒りの口調に仕組まれた商業主義を見抜き、乗せられること自体を滑稽だと感じている。
そして第三に、過剰な道徳観の強要に対する疲弊だ。他人の倫理観を断罪するニュースに触れ続けることは、精神的なリソースを無駄に消耗させる。結果として、自分たちの生活に一ミリも影響を与えない芸能スキャンダル報道に対し、大衆は意識的にシャッターを下ろす「情報の省エネ」を選択している。