制作の陣頭指揮を執るのは、時間を巧みに操る映像の魔術師クリストファー・ノーランか、それとも冷徹な完璧主義で知られるデヴィッド・フィンチャーか。業界内では長らく監督の正体を巡る心理戦が続いていた。巨額の製作費を提示して独占契約を迫った老舗スタジオのワーナー・ブラザースに対し、クリエイティブの完全なる自由を保証したインディペンデントの雄A24が真っ向から対立したという歴史的ディールが裏で繰り広げられていたのだ。
現場の関係者が明かしたところによると、セットには巨大な実物大の建造物が組み上げられ、一切の妥協を許さないライティング調整が連日徹夜で行われているという。スタジオ主導の量産型エンターテインメントに対するアンチテーゼとして、監督自身の狂気がそのままスクリーンの隅々にまで染み渡っている。