物語の舞台であるペリリュー島は、フィリピン海に浮かぶパラウ共和国の小さな島だ。1944年9月、米軍はこの島を「3日で攻略できる」と踏んでいた。しかし、日本軍守備隊の徹底した持久戦と洞窟陣地を活用した抵抗により、戦いは2か月以上にも及ぶ地獄の泥沼劇と化す。
日本軍約1万人に対し、生きて捕虜となったのはわずか数百人。生還率は極めて低く、戦後は「忘れ去られた激戦地」とも呼ばれた。作品内では、主人公の田丸(たまる)たち漫画家志望の兵士が、記録係としてその現実を目撃していく。補給を絶たれ、自決を強いられ、仲間が一人また一人と倒れていく恐怖。漫画は、歴史書の数字の裏に隠された一編一編の「無名の人生」を鮮明に蘇らせる。